幽霊は理論上の粒子ってこともあり得る話だと
物理学者たちが言っていると話題に!!
幽霊っているんだろうか。わからない。
でも、おもしろい。ぶっちゃけいてもいなくてもいいから、ネタにはしたい。という人が多いんじゃないでしょうか。
その幽霊論を、科学的になんて思う人は少数派なような気がします。
ですが、実は物理の専門家たちの間で、幽霊についてアツく議論が交わされていました!
コチラ、よくある幽霊否定派の科学的なお考えの方の発言がキッカケです。
通常、みんなその意見に賛成かと思いきや、まったく違った反応がありました。
「幽霊は実在しない」という物理学者の発言に対し、ほかの物理学者たちが「そのいい方はどうだろう。物理学者としての姿勢として物申す」という流れに発展したんですね。正直、意外です。そして、まさかの「幽霊は未知の素粒子アクシオンという可能性だってある」という論が出て話題になっているので、ご紹介したいと思います。
ことの発端はヒッグス粒子を
発見したことで有名なLHCを用いた幽霊否定
素粒子の観測等のため、スイスとフランスの国境をまたいで設置されている大型ハドロン衝突型加速器(LHC)というものがあります。
これは、高エネルギー物理現象から生じる粒子を観測できる世界最大の加速器です。
2012年にヒッグス粒子を発見した(※)ことで、耳にした人も多いのではないでしょうか。
このLHCを引き合いに出して、幽霊の存在を真っ向から否定した物理学の研究者がいます。
マンチェスター大学に属する素粒子物理学の特別研究員のお方。
RealClearScienceによる書き起こしによると
(BBC Radio Fourの番組The Infinite Monkey Cageで語られたもの)
『もし私たちの細胞情報を(死後も)保持し続ける者が存在すると仮定するなら、何によって構成されているのか、どのように我々の体を構成している粒子と相互作用しているかを正確に特定せねばなりません。つまりLHCの検出を逃れた物質がこの世に存在し、(素粒子研究の基本的枠組みである)素粒子の標準理論を拡張せねばならないということなのです。我々の体内で起こる典型的な粒子の相互作用のエネルギースケールでは想像できないことです』
要は、「幽霊が実在するならば、それは素粒子である。だって、存在してるってことは物質なんだから。
それならば、とっくにLHCに観測されているでしょ。素粒子間にはたらく相互作用の枠組みから考えてもさ、ないよ」という論理ですね。
確かに。「幽霊が実在しているなら、それ物質ですよね」と筆者も思い、ちょっと幽霊に対する怖さが薄れました。
【ちなみに素粒子とは】
素粒子というのは、”物質を構成する最小単位の粒子”です。つまり、ざっくり言うと私たちの世界を構築している、すっごく小さい粒ということ。
【相互作用】
この世界には物質を構成する素粒子と、物質同士の間に働く力という素粒子あって。媒介する力がなんらかの作用を起こしているということ。
物質を支配しているのは、基本的に四つの力(重力とか)で、それらは力の粒子を交換することによって働くと。
それがものすごく簡単に言うと、相互作用っていうもの。
幽霊を信じているわけでなくとも
異議アリ!!!
上記の論に待ったをかけたのが、まさかのGizmodoのサイエンスライターRyan F. Mandelbaum氏。この方、いつもはオカルトはNG。大槻教授張りに、超常現象を解き明かすことをライフワークにしているそうです。そのお方が、まさかの反論をしたんですよ。
まだ、LHCによって発見されていない超対称性粒子やアクシオンなどのダークマター(暗黒物質)候補となる理論上の粒子を無視する気か!!!!
という旨を述べ、人間が未だ発見できていない素粒子で幽霊が構成されている可能性は否めないとの見解を示したわけです。もちろん、御本人は幽霊は信じてないけどねと言っておりますが。
論理的! 人の意見を否定したいだけの人ではないかと思えなくもないですが、論理的。挑んでもきっとみんな論破されちゃいますね。
西洋版、大槻教授だけではない!
幽霊なんていないに待ったをかける物理学者
粒子物理学を専門にしているカリフォルニア大学バークレー校の教授Bob Jacobsen氏も、アメリカのGizmodoにて異議を唱えました。
もちろん彼も大型地下キセノン実験(LUX)に参加している、しっかりした経歴の持ち主です。
彼は、“小さな低エネルギーであるダークマターの調査を行っているが、アクシオンというモノが存在するかは不明だ”としています。
しかし、だからこそ「幽霊がアクシオンで構成されていないと誰が断言できます?」と述べたのだそうです。
Bob Jacobsen氏は幽霊については専門的な見解を持たない(幽霊を探す研究などはしていない)上で、自身が間違っている可能性もあると断っていますので、かなりまっとうな人物であることがうかがえます。
その人物がすごく噛み砕いた言い方にするとですが、「幽霊はアクシオンかもしれないじゃん!」って言ったということなんですね。
で、さっきから出てきている
“アクシオン”って何?
アクシオンとは従来の物質とは相互作用をしないと考えられている、というか、わかっていることだけでは説明がつかない部分のスキマを埋めるために考え出された、理論上存在しうる素粒子です。(※ものすごく平たく説明するとなんで、ちゃんと説明するとちょっと随分違いますが)
なんだよ。ソレ。と思いますよね。あるわけないじゃんって思う人がいてもおかしくはありません。が、同じように理論上存在しうる素粒子が2012年に発見されております。それがヒッグス粒子です。ええ、だから「おおおおお!!!!!!」ってなったんですよ。「まさか本当に発見できるとは」っていう感じですね。ならば、アクシオンもあるんじゃないかってことになります。
その、アオクシオンがなぜ幽霊の話に出てくるかというと、ズバリ性質が似ているからなんですよ。
【アクシオン】
・従来の物質とは相互作用をしない
・別名、奇妙な光子(strange photon)
・電磁場で光子に変化したり戻ったりすると考えられている
簡単にまとめると、
電磁場で出現したと思ったら消えたりする、光みたいなもん。と考えられているということですね。
電磁場でピーンと来た人も
いるんじゃないでしょうか?
もともと電磁場っていうのは、心霊現象が起きやすいと言われているんですよ。そのいわれ方はさまざまで、幻覚、幻聴といわれる場合も含みます。ただ、電磁場ではそのようなモノが現れやすいのは事実としてあるわけですよね。
だとすると、アクシオンの性質と幽霊って、ピッタリしっくりします。
まぁ、見つかっていないモノをそうだと断定はできませんが、逆に言えば、否定もできないわけです。
アクシオンが発見されたら、一気に幽霊まで科学的に検証できる日がくるかもしれません。
ぶっちゃけ幽霊って、実在するの? しないの? ~その2~
~電磁場と幽霊~に続きます。
※2013年にノーベル物理学賞したヒッグス粒子の存在を提唱したお二方がおりますが、こちら受賞したのは、2012年にLHCで新たな素粒子が発見され、それが2013年ヒッグス粒子だったという経緯があります
文/岸リア子