<はじめに>
ご存知の通り、米国の大統領選が終盤になっても激しい争いが続いており、まったく結果がみえない状況となっています。
といっても、争っているのは、支持率よりも、“不支持率”の方!
当初はトランプ候補独の独走体制で、最近はなんと70%という記録的数字をたたきだしたとの情報もあるぐらいですが、対するヒラリー候補もいつのまにか60%ぐらいまで急追しているそうです。
つい数日前に行われた候補者討論会では、トランプ候補が格の違いを見せつけて、危なげなくリードを広げたようですが、ヒラリー候補が、前に見せた「大事な式典の最中にあえてふらついて倒れてみせる」みたいな離れ業をいつ出すかわからないので、いくら暴言王の名をほしいままにするトランプ候補といえども、まったく油断はできません。
経験豊富で支持率がもっと高くてもおかしくない
ヒラリー氏が不支持率を得るのは、なにゆえ!?
冗談はさておき、最初から不支持率記録狙いであった(としか思えない)トランプ候補が、高い不支持率を得ているのはまだわかりますが、政治家としての経験実績が豊富で、女性初の大統領という話題性もあるはずのヒラリー氏までもが、なぜ、それほどまでに高い不支持率を得られているのでしょうか?
というわけで、今回は【ヒラリー氏の人生】と、【今、米国中から反発を受けている原因】を、活躍運の面から見てみる事にしましょう。
【ビル・クリントン政権を支え、国政の場で活躍した過去】
ヒラリー氏は、有名な大学を卒業後、弁護士として活動しつつ(①)、夫のビル・クリントン(42代大統領1993~2001)の政治活動を助けます。
当時から優秀で活動的な女性として知られており、ビル・クリントン氏が大統領選の時に(1992)「私が当選すれば、ヒラリーも(大統領の補佐役として)ついてくる」と宣伝したぐらいです。
ビル・クリントンが大統領に就任した後は、ファーストレディーを務め(②)、さらにニューヨーク州の上院議員にも当選して(③④)、国政の場で活躍します。グラフでみるとはっきりしますが、ちょうどこの時期が、彼女にとっての人生の旬の時期にあたります。
(参考)【ビル=クリントン氏(表①)と、ヒラリー氏(表②)との活躍運の関係】
(緑の縦線は1992年大統領選)
【ヒラリー氏2008年大統領選に出馬するも、バラク=オバマ氏に敗北】
一足遅かったヒラリー氏の選挙結果は
御存知の通り
そうして得た実績と知名度を元に、米国初の女性大統領を目指して2007年に立候補しますが、運勢的に日の出の勢いであったオバマ氏(現大統領)に予備選で敗れてしまいます(⑤)。
ヒラリー氏の人生を題材に、1本文章を書かなければならないとしたら、今回ではなく、このときの大統領選の方がいいネタになるでしょう。
というのも、2008年大統領選では、立候補する(2007年1月)まではヒラリー氏の運勢は絶頂期で、当選は時間の問題とみられていたのですが(参考:立候補当時の支持率、ヒラリ=40%、オバマ=21%)、ちょうどその2007年からヒラリー氏の活躍運がなくなってしまい、失速してオバマ氏に追いこされ、撤退せざるを得なくなりました。
(参考)【2007年のヒラリー氏(表①)とオバマ氏(表②)の活躍運対比】
【表①】ヒラリー氏
もし大統領選が実際より2年ぐらい前に行われれば、ヒラリー氏が当然のように当選しオバマ氏の就任もなかったわけです。が、ヒラリー氏の旬の時期の短さによって、これほど努力と実績を積み重ねながらも、大統領の椅子を遠くしたわけです。
2016年大統領選に出馬するも
ヒラリー氏は過去の人
前回ですでにそうだったぐらいですから、今回ヒラリー候補はとうに“過去の人”になってしまっているのは言うまでもありません。
都知事選の記事でも書きましたが、“過去の人”が選挙に出ると、最初は知名度や過去のイメージでリードすることができますが、テレビに映ったり人前に出たりしているうちに、徐々に現在の印象の方が強まっていき支持を失っていきます。“冷める”、“あきる”、“幻滅する”という言葉で置き換えてもいいでしょう。
そのため、ビジョンや夢を語っても国民に受けなくなっているので、対立候補の無知や未熟さをあげつらったり、揚げ足をとったり人格攻撃を仕掛けたりせざるを得なくなります。
しかも、アメリカの大統領選はやたらと長いので、そんな場面を延々と見せつけられているわけで、これが不支持率60%という結果につながったということでしょう。
混乱ここに極まれり
米大統領選の元凶は!?
別にヒラリー氏を嫌いなわけでもないですし批判するつもりもありませんが、彼女の運勢を見れば、ビル=クリントン政権で重要閣僚として活躍されたところでその果たすべき役割は終わっていますし、十分にその役割は果たされたと思います。
ガラスの天井とかなんとか言っていますが、ヒラリー氏のあくなき上昇志向こそが、今のアメリカ大統領選の混乱をもたらしていると言えなくもありません。
(その点、前回は運勢の強いオバマ氏がいたのでよかったわけです)
今回もヒラリー氏のために大統領候補になれなかった者がいるわけですし、大統領の座に執着して、第二第三のオバマ大統領のような若手の台頭を妨げる事がないことをお願いしたい次第であります。